ポイントは、図々しく、かつ、勢いよく始めることだ。オープニングに、今や伝説となっているリーバの悲劇を持ってきたのはそのためである。あたかもあのときのものすごくふくよかな女性のように勢いよくドーン！と始めてしまえば、最後まで言い切ってしまうのはそれほど難しくはないだろう。

　「でもちょっとこれ語尾上げ多すぎじゃない？意味わかんないし」と思う向きもあるかもしれない。だがこの語尾上げ説明用テンプレートが優れているのは、次の語尾上げが全て内包されている点なのである。

［発言内容に自信がないので、曖昧にしておきたい］語尾上げ
［断定口調を避けることで、強調したいことを角を立てずに伝えたい］語尾上げ
［常に相手の注意を、自分の方へ引きつけておきたい］語尾上げ

　これだけの内容を詰め込んだため、全体の意味はむちゃくちゃである。でも全体の意味など無意味だ。こんなのはあくまでも雰囲気モノなのだ。語尾上げとは頭で理解するものではない。センスで感じるものである。語尾上げを説明するときは、語尾上げの鬱陶しさを相手の右脳に伝えることが最優先事項なのである。そして、DOVE SUPER MIXを目の当たりにして何も感じない人などいようはずもない。

　そう。このDOVE SUPER MIXを使えば、語尾上げの定義のみならず、語尾上げのカッコ悪さまでもが一度に説明できてしまうのである。両者を併せて説明するため最低限の語尾上げを用意した結果、これだけの語尾上げ回数となったわけだ。

　あなたの人生の中で、語尾上げについて説明しなければならない機会はこれからも幾度となく訪れるだろう。だがもう心配はいらない。今後はこのDOVE SUPER MIXを丸暗記してそのまま口にするだけで良い。どんな相手であれ、ものの10秒で語尾上げのなんたるかを理解してもらえるであろうことはこの私が保証しよう。（ただし、これを人前で披露してひととおり理解してもらったあとに対人関係その他がどう転ぶかは保証の限りでない。）

−

−

−